インターネット
ゲーム依存を知る
オンラインゲームやSNSなど、
ネットの世界に没頭し、
日常生活がままならなくなる時代性を背景とする依存
オンラインゲームやSNSなど、
ネットの世界に没頭し、
日常生活がままならなくなる時代性を背景とする依存
家庭や学校、職場で、街角で、電車やバスの中で…。
多くの人は、一日のうちかなりの時間、パソコンやスマートフォンを通じてインターネットとつながっています。
情報にアクセスしやすく、コミュニケーションも簡単に、暇つぶしのツールもすべて手元に収まったのは時代かもしれません。新型コロナウイルスの影響を受けたいわゆる「ニューノーマル」の社会のなかでは、勉強や仕事をはじめ、普段の生活の中でもインターネットが介在する場面が急増しています。しかし、その一方、情報に押し流され、孤立し、生活のほとんどをインターネットの中での活動に費やす人が見られるようになり、それに伴う問題が浮き彫りになってきています。
インターネットゲーム依存症とは、さらにいくつかの細かな対象に分かれます。パソコンやスマートフォンを使って検索サイトや動画サイトを見ること、facebook、LINEやInstagramなどに代表されるSNS(コミュニティ型の交流サイト)を使うこと、オンラインゲームのサイトで楽しんだり、アプリをダウンロードして遊ぶ…など。
これら様々な行為に、ひとつあるいは複数に過度にのめりこむことで、時間や金銭などのコントロールができなくなり、結果として、家族や周囲の人たちを傷つけ、社会生活が送れなくなってしまう状態を「インターネットゲーム依存症」言います。
ここ数年、国内外でコンピューターゲーム(ビデオゲーム)をスポーツ競技として捉える「eスポーツ」についての関心が高まり、プレイヤーとして熱心に技術を磨き自己成長をする若者たちが増えています。その一方で、依存的な傾向が強まり悩みを抱えているご本人やご家族が存在しているのも事実です。さらには、同じインターネット経由ということで、オンライン系のギャンブルへのめり込む若者からの相談が増えています。
新型コロナウイルス感染防止に関する在宅時間の増加、社会状況の先行き不透明感などがメンタルヘルスへ影響を与え、外出せずにできるギャンブル(競馬、競輪、競艇、オートのオンライン投票)へ接触する方が増え、その中で問題を抱えた方からの相談が増加傾向にあります。さらには、海外のサーバーへ接続するオンラインカジノ、インターネットカジノへののめり込みで問題を抱える方もいるなど、一昔前とは違った問題ギャンブルの様相が現れています。
インターネットゲーム依存症の状態が進行することにより、生活サイクルが狂うことで自身の健康、学業や仕事に影響を及ぼし、不登校や出勤拒否などに至るケースも少なくありません。
また、家庭内(親子間や夫婦間)の衝突や暴言、暴力に至ることや、過度な課金に絡む金銭問題の発生、さらには犯罪に巻きこまれる・巻きこむなど、思いもよらぬ問題が発生することもあります。
サイトを見る、ゲームを楽しむなどで得られる刺激や高揚感などを脳が「報酬」「良いもの」と認識することで、娯楽や気分転換になる方が多くいます。
この脳の動きについては、ギャンブルのような行為に対する依存(行為依存、プロセス依存)だけではなく、アルコールや薬物のような物質依存にも共通しているという指摘もあります。
その一方で、依存症者や依存の傾向の高い方は、自身の苦しい生き方や、こころのなかに生じるネガティブな感情(ワンネス財団では、生きづらさ・生きづらい感情と呼んでいます)の対処手段として、サイト閲覧に耽ることやゲームの刺激や高揚感を欲するようになるので、次第にコントロールが効かなくなり、問題が生じてもやめられず、余計にしたくなるという状態に陥るのです。
また、最近人気のオンラインゲームは、ゲーム自体が持っている刺激だけではなく、ゲーム内で形成されるコミュニティと依存の関係性が指摘されています。リアルな日常生活のなかで何らかの挫折経験があった方、普段から孤立感を抱いている方がゲーム内のコミュニティで「(自身の)居場所」を見いだし、その状況を手放したくないという思いです。
以上の考え方を基にすると、当事者ご本人には元々不快なこころの状態があり、ゲームやインターネットに関する行為に没頭するよって不快な状態を払しょくできたというある種のメリットを感じ、そのメリットを頻繁に感じていたい欲求から頻回にゲームやインターネットにのめり込み、依存に至る、という表現に言い換えることができます。ですので、ギャンブル依存の問題は「(脳の)病気」という表現もできれば、
生きづらさにまつわる「こころの課題」という見方ができ、「なぜ私はそこまでゲームが必要だったのか」「なぜ私はそこまでSNS上のつながりにこだわっているのか」などの問いを立てることが、解決のきっかけとなります。
私たちワンネス財団は、WHO(世界保健機関)が定義する「健康」の状態を踏まえて、依存を抱えている方は肉体的、精神的、社会的の各側面が良好な状態ではなく、その状態を埋め合わせていくために依存に陥っていると考えます。それら各側面を良好にしていくことは言い換えれば‘Well-Being(ウェル・ビーイング)’にもつながり、単に依存対象を断つことや近づかないことが解決ではない・・・全人的な回復成長こそが依存問題解決のみならずゲームやインターネット依存予防にも必要なのです。
なお、インターネットゲーム依存は、ワンネス財団が使用している表現です。
2019年5月に世界保健機関が国際疾病分類(ICD)のなかで新たな病気として「ゲーム障害(ゲーム症)」を盛り込むことを決定。アメリカ精神医学会の基準(DSM)では、「今後の研究のための病態」として公式には精神疾患とはされてはいないものの、「インターネットゲーム障害」を取り上げています。
診断基準とは別に、自身の状態を知る上で参考になるチェック項目(スクリーニングテスト)があります。ここでは、前項で取り上げたアメリカ精神医学会(DSM)での基準を挙げます。
なお、チェック項目についてはほかにもありますが、あくまで依存かどうかの可能性を判断するものです。結局は、チェックされているご自身が「いまの状況をどう捉え、これからどうしたいのか」を考え、考えた方向性に沿った行動をすることが大切です。
12ヶ月の間にあなたの状態は以下の質問に当てはまりますか?
質問 | 回答 | |
---|---|---|
1 |
質 問 1 満足を得るために、ネットを使う時間を 段々長くして行かなければならないと感じていますか? |
回 答
|
2 |
質 問 2 ネット使用を制限したり、時間を 減らしたり、 完全にやめようとしたが、うまくいかなかったことが 度々ありましたか? |
回 答
|
3 |
質 問 3 ネット使用時間を短くしたり、完全にやめようとしたとき、落ち着かなかったり、不機嫌や落ち込み、 またはイライラなどを感じますか? |
回 答
|
4 |
質 問 4 使い始めに意図したよりも、長い時間ネットを 使用していますか? |
回 答
|
5 |
質 問 5 ネットのために大切な人間関係、学校のことや、 部活動のことを台無しにしたり、危うくするようなことが ありましたか? |
回 答
|
6 |
質 問 6 ネットへの熱中のしすぎを隠すために、家族、学校の先生やその他の人たちに嘘をついたことがありますか? |
回 答
|
7 |
質 問 7 問題から逃げるために、または、絶望的な気持ち、罪悪感、不安、落ち込みなどといった嫌な気持ちから逃げるためにネットを使いますか? |
回 答
|
12ヵ月の間に(a)はいが5項目以上当てはまる場合は「ネットゲーム依存の疑い」
木村 勇也(セレニティパークジャパン奈良)
私はギャンブル依存症の当事者です。しかし、今振り返ると私の依存の問題はギャンブルだけではありませんでした。10代の頃はスポーツに励む時期もありましたが、高校生の時に大きな挫折を経験しました。そこからコンプレックスという恥の気持ち、「生まれ変わってやり直したい」という思いから先輩とギャンブルを始めました。同時にネットサーフィンやネットゲームに耽る時間も増え、学校を休むようにもなっていました。「インターネットやゲームの中では、現実の自分では出来ないことが実現できる」という感覚が唯一の心の支えでした。家族からはインターネットに没頭している姿を注意されるものの、反発しかありませんでした。20代になってからスマートフォンを始めて手に入れました。いつでもネットと繋がるツールを手に入れ、ギャンブルの問題がさらに大きくなっていくと同時にインターネットへの依存も深刻になっていきました。そのころの私は、現実での生活に希望を感じることができず、昼間はギャンブル、夜にはネットやゲームに逃げ込むようになり、金銭の問題が常に絶えない状態でした。家族に借金を返してもらうものの、それでも問題は無くならず、最後は横領をして金銭の工面をするようになっていました。
キズクさん(ワンネスの里 利用者)
幼少期からゲームは身近にあり、もちろん家では独りでゲームばかりやっていました。 学生時代の休日はゲームセンターで友人と対戦ゲームすることが多く、大学生の頃にスマホを持ちスマホ用ゲームアプリをやるようになりました。その頃から課金をしていました。
大学卒業後、就職活動に失敗しアルバイトをしていたのですが、うつ病になり身体の自由がきかずお手軽にできるスマホ用ゲームアプリばかりするようになり、ニートという現実から逃げるようになりました。
変わらない毎日、変わろうとしない毎日に刺激がほしく、課金が止まらず、親のクレジットカードに手が出るようになりました。 そんななか、親が施設を見つけ入るよう進めてくれました。
トモユキさん(セレニティパークジャパン奈良 利用者)
ゲーム自体物心ついた時から身近にあり、幼少期からゲームをしていました。 時間等のコントロールが出来なくなったのは、恐らく大学に入学してからだと思います。 一人暮らしを始めてから自由だと感じる時間が増えると同時にゲームをする時間が増え、大学に行く時間は減っていくばかりになっていきました。 そうなってくると、昼頃起きて夕方までゲームをする生活サイクルに変わっていきました。夜はバイトをして家に帰ってからは明け方までゲームをし続けるという日々の繰り返しでした。 そのまま大学には行けなくなり、大学を辞めることになり実家へ戻ることとなりました。実家に戻ってからは、親との喧嘩が絶えず、居場所を感じれずにまた一人暮らしを再開しました。そんな中でもゲームや課金が止まらず、初めて借金をしてしまいました。 お金を借りることに抵抗感が段々となくなっていき、お金のほとんどがゲームへの課金に費やされていきました。 その後就職しますが、ゲームのプレイ時間や課金がひどくなっていくばかりで仕事も生活も長続きはしなくなっていました。そんな中、施設のスタッフが家に来てゲーム依存からの回復を始めるために施設につながることになりました。
依存から脱却するためには、ネットの使い方を考える・利用時間を決める・ネットゲーム以外の趣味(生きがい)を見つける・・・ということだけではなく、「なぜ、自分にとってネットゲームが必要なのか」「なぜ、生きづらいのか」ということを見つめて、自身のこころのなかにあって語れていないことを言語化していくこと、そのためのコミュニティや手段につながることも必要です。
それぞれの機関は、利用料の有り無し、保険適用の有無、通所か入所か、サポート体制の濃さ、プログラム内容など、異なった特徴を持っています。ひとつだけ利用する人もいれば、幾つか組み合わせて利用している人もいますが、いずれにせよ、今までの苦しい生き方を変えるためには、どのような方法にせよ今までとは違った行動をとる必要があります。
※依存症の疑いがある、あるいは依存症の診断を受けているご本人が幼児や小・中・高校生の場合は自助グループの利用や民間回復支援施設の利用が現実的ではないケースが大半です。
その場合も、単に「使い方、ルールを決める」や「ほかに趣味を見つける」などの対処だけではなく、そもそも親がどのように子に関わっているのか(なぜ、そのような関わり方をしているのか)を見つめ直し、場合によっては親自身の生き方を考え、幸福感を高めていく機会にするように、ワンネス財団としてはアドバイスしています。
ワンネス財団では、以下の方法で個別相談を受け付けています。
依存症を経験したスタッフ、家族としての立場を経験したスタッフがお話を伺います。
ゲームをはじめとした未成年の依存症者に対して、トレーニングを受けた家庭教師を派遣。
ワンネス財団の心理カウンセラー監修のもと、家族療法のシステムズ・アプローチ、ポジティブサイコロジーを使った新しい手法を使い支援を行います。 家族のバランスを整えながら、お子様が前向きで幸福度の高い生活ができるよう、寄り添っていきます。
大阪で本人のみが参加できる自助グループ的なミーティングを開催。
経験のシェアなどを行っています。
参加無料/事前予約が必要
詳しくは(相談ダイヤル)0120-111-351(月曜〜金曜 10:00〜17:00)
メール:info@oneness-g.comまで
仮釈放・満期出所後の元受刑者や少年院出所者に対し、ソーシャルスキルやビジネススキルなどを磨くための入所型トレーニングカリキュラムを提供。受刑者が 自身の強みを活かし、生きがいを持って社会復帰できるようサポートしていきます。
仮釈放・満期出所後の元受刑者や少年院出所者に対し、ソーシャルスキルやビジネススキルなどを磨くための入所型トレーニングカリキュラムを提供。受刑者が 自身の強みを活かし、生きがいを持って社会復帰できるようサポートしていきます。