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2019.07.16

ゴリラ(動画多め)

こんにちは。

早速ですが、ここで実験です。

下の動画の36秒あたりからの会話を聞いてみてください。

女性の会話と男性の会話が聞こえてきます。

会話は英語ですが、わからなくてもいいので、

特に「女性の声」の方に耳を傾けていてください。

いかがでしたでしょうか。

何か気づきましたか?

今度は男性の声に耳を傾けてみてください。

同じ動画

今度はいかがでしょう?

 

お気付きの方。

そうです。

途中から、「I’m a gorilla」と言っている男性の声が聞こえてくるのです。

ロンドン大学で行われた実験です。

 

心理学では昔から「カクテルパーティー効果」と言って

複数の会話が聞こえている中でも、

注意を向けている会話だけが選択的に聞こえることが知られていました。

 

では、それ以外の話は聞こえていないのか、というと、

実はそうではありません。

雑踏の中で会話している時に、

試しに、今までの会話のボリュームを下げて、

「これから内緒の話をするんだけど、誰にも言わないでね」

とでも言ってみてください。

周りが一瞬静かになるはずです。

 

周りの声はおおかた聞こえているけれども、

その中から興味のあることを選んで、意識にのぼるようにしているのです。

自分たちの会話に夢中になっていても、

どこかで自分の名前が聞こえてきたら、そこに注意が向くことってありますよね。

発達障害の方など、人によってはこれが苦手な方もいらっしゃいます。

私も苦手です。

 

で、今回の実験は何かというと、

注意を向ける声が女性の声なのか、男性の声なのかで

I’m a gorillaの聞こえ方が違ってくる、というものです。

I’m a gorillaと言っていることを知っていた場合でも、

女性の声に意識を向け、チューニングすると、男性の声が聞こえづらくなり

男性の声にチューニングすると、他の男性の声も聞きやすくなるらしいです。

もう一度、聞いてみてください。

 

 

で、ここで疑問がわきます。

なぜ「I’m a gorilla(私はゴリラです)」なのか?

 

この「認知心理学」の「注意」界隈では、「ゴリラ」が正解なのです。

 

それは、1999年イリノイ大学のダニエル・シモンズ博士の撮影した下の動画に端を発します。

 

白いシャツを着ている人たちが、

バスケットボールを何回パスしたか、数える実験です。

正解は15回。

でも、途中で「ゴリラ」が出てきたことに気づきましたか?

と言う動画です。

 

約半数の人が、気づかなかったそうです。

2004年、この実験で、イグの方のノーベル賞をとりました(イグノーベル賞受賞者一覧

 

2010年にも、似たような動画「モンキービジネス錯覚」が撮影されています。

(モンキービジネスは、ごまかしやインチキの意味です)


今度はゴリラに気づいたと思います。

でも、後ろのカーテンの色が変わったことに気づきましたか?

と言う動画です。結構気づかないものですよね?

 

人間は、五感を通して膨大な量の情報を取り入れています。

その全てに注意を向けることはできません。

この「選択的注意」、スリや手品師もよく使っています。

「選択的注意」の動画↓↓

↑下にある字幕ボタンで字幕が出てきます。日本語も対応してます。

 

 

人間は、注意は一つしか向けられないと言われています。

なので、マルチタスクの人は、一度に色々な作業を同時並行しているのではなく、

注意が頻繁にあちらこちらに飛ばすことができる人と言われています。

 

この情報の取捨選択。

自分の内面(すなわち「考え」や「感情」)にも言えます。

 

例えば「怒り」を感じた時、

我々はその都度「自分は怒っているな」と自覚しているでしょうか?

考えや妄想に没入している時、

その都度「自分は今妄想しているな」と自覚しているでしょうか?

 

ある人は「怒り」を感じるけれども「自覚」することなく、

自動的に暴力や暴言をはたらいてしまうかも知れません。

またある人は「怒り」や「悲しみ」を感じない(自覚しない)ようにするために、

お酒や薬物で感情を抑えたり、

ギャンブルに集中することで感情を感じないようにしてしまうかも知れません。

 

依存症やうつ病、その他の精神疾患は、

ネガティブな感情やストレスが原因であることが多々ありますが、

そもそもその感情を自覚せず、

自動的に「馴染んだ」やり方で処理したり、

それを感じないように押し込めたりしてしまいます。

その結果、気づかぬうちに症状を悪化させてしまうのだと私は考えています。

 

本当ならば、嫌なことがあったりネガティブな感情が出てきたときに、

すぐにそれに気づき、すぐに適切に冷静に処理したり、

一旦保留して置いておいて、別のことに集中し、

後からじっくり処理するのが「望ましい方法」です。

幸せを感じたときにも、それにすぐに気づき、

その感情を増幅させ、十分味わうことも可能になります。

しかし現代社会に生きる我々は、

感じている感情にすぐに気づくことに慣れていません。

訓練が必要です。

 

現在の心理学の業界で行われている気づきの訓練法が、

「マインドフルネス」と呼ばれるものです。

たっぷりと時間をとり、自分の内面に起こっていることに気づく。

多くは途中で、自動的に「考え事」をしてしまいますが、

それに気づいたら、また自分の内面に注意を向ける。

感情が動いていることに気づいたら、

内面に意識を向け、その感情が体のどの辺に感じているものなのか、

探ってみる。妄想や考えには乗っからない。

 

この「マインドフルネス」。

多くの精神疾患で効果を発揮していますが、特に軽度のうつ病、再発したうつ病の方には効果的です。

しかし、身につけるには結構時間がかかります。

 

なので、まずはみなさん。

日々の生活の中で、「今、自分は何に注意を向けているかな?」ということだけでも

気にして生活してみてはいかがでしょうか?

きっと色々な気づきがあると思いますよ。

 

ということで、今日もお読みいただき、ありがとうございました!

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