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2019.07.25
柔らかい決定論(格言多め)
“あなたの問題が「自分自身のものである」と決心した時から、あなたの人生の中の最高の日々を過ごすことになるでしょう。母親や環境、ましてや大統領を責めてはいけません。あなたは、自分自身の運命をコントロールしていると理解するのです” -アルバート・エリス
こんにちは。
今日は、認知行動療法(CBT)の一つであるREBT(理性感情行動療法、論理療法)の創始者であるアルバート・エリスの言葉から。
認知療法のアーロン・ベックとともに、認知行動療法の礎を築いた方です。
エリスは、こんな風にも言っています。
“主にあなたが「うつ病」を構築したのです。与えられたものではありません。したがって、自分自身でそれを解体することができます” -アルバート・エリス
確かに、他人や環境のせいにしたところで、問題がなくなるわけではありません。
「あらかたの問題は自分でなんとかできる」と言われれば、希望も湧いてくるかもしれません。
しかし、この世の中には「自分の力ではどうしようもないと思われるもの」もあります。
自然災害に対して、我々人間はまだまだ非力ですし、
通り魔や放火で逃げ遅れた人たちに
「自分でなんとかできたはず」と責めることができるでしょうか。
この世の中、科学技術が日進月歩で進化していますが、
その便利さから、なんでもできると思ってしまいがちです。
その結果、思い通りにいかないことに対して、
受け入れることが難しくなっていると思うのです。
今の時代よりも不便で、物質的にも貧しかった時代。
自分の力ではどうしようもないことを受け入れ、
自分のできる範囲で工夫して生きていたはずです。
そんな日本の姿を描写した映画として、「この世界の片隅に」がおすすめです。
8月3日にNHKで放送されるとのこと。
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(最近問題になっている)スタンフォード監獄実験で有名なフィリップ・ジンバルドーの最近の著作にちょっと出ていましたが、
太平洋戦争後のハワイで、日系人と欧米人で比較したところ、
日系人の方がPTSD(トラウマによって精神的苦痛が長引く疾患)が少なかったとか。
もともと自然災害の多い日本の中で、以前このブログで書いた「諦め」の感覚が身についていたのかもしれません。
・森田正馬(精神科医。「森田療法」の創始者)
“不眠でも、赤面恐怖でも、神経症をなんでもかんでも治そうと思う間は、どうしても治らぬ。治すことを断念し、治ることを忘れたら治るのである”
“頭はいつでも澄んでいて、気分はいつも爽やかであるべきだと決めている人は、頭の重い感じやだるい気分もただ事ではなくなる”
“かくあるべしという、それでもなお偽りである。あるがままに行動する、それこそ真実である”
・土居健郎(精神科医。「『甘え』の構造」の著者)
“日本人は一方を極端に愛し、他方を極端に憎むということはあまりしない。その代わり、同一人に対し、陰では悪口をいいながら表向きはお世辞を言うことが社会的に許容され、私には親愛の情を寄せながら公ではつれなく当たることが当然のように受け取られ、アンビバレンス(二律背反)をさばいているように観察される”
・鈴木大拙(禅の考えを世界に広めた仏教学者)
“東洋の心は無心になる事。どこまでいっても無限で天地の分かれがない。西洋は二次元の世界。底には対立があり、一方は他を力で支配しようとする”
日本人の特性として、心理学や思想の大家の方々がおっしゃるのは、
二元的にならずに、曖昧なものをそのまま受け入れる。
変えられないものは抗わずに、あるがまま受け入れる。
ということ。
こんな考え方が、日本人に合っていると思います。
・フレデリック・パールズ(ゲシュタルト療法創始者)
“学びとは、何かが可能であると発見することである”
・ゲーテ(詩人、劇作家、小説家)
“気持ちよい生活を作ろうと思ったら、済んだことをくよくよせぬこと、めったに腹を立てぬこと、いつも現在を楽しむこと、とりわけ、人を憎まぬこと、未来を神にまかせること”
“人々は言う「どうもこれは気に食わぬ」。それで片付いたと思っている”
以前紹介した「平安の祈り」にもある通り、
変えられるものは変えていく。変えられないものは受け入れる。
そして、それらを見分ける。
この考えは、ギリシャのストア派の哲学者「エピクテトス」に遡ることができます。
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・エピクテトス(ストア派の哲学者)
“幸福への道はただ一つしかない。意思の力でどうにもならない物事は悩まないことである”
昨今賑わせている事件や災害の被害者やその周りの方に想いを馳せると、
人生経験の浅い私からは
「あるがままに受け入れて」と伝えるだけなのも心苦しいものです。
偉大な心理学者や思想家が遺した言葉を伝えることで、
少しでも役立てればいいな、と思います。
ということで、今日もお読みいただき、ありがとうございました。