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2019.05.13

「諦める」ということ

こんばんは。

 

みなさん、ちょっと想像してみてください。

 

いつの間にか気がついたら、車の運転をしていました。

どこに向かっているのかもわかりません。

なんか、どこか車の調子が悪いみたいですが、それもどこなのかわかりません。

 

「そんなん、想像でけへんわ(関西弁)」と思っていらっしゃる方も、

無理やり想像してみてください。

 

 

運転していると、「あ、そう言えばスーパーマーケットに買い物に行くんだった」と思い出します。

そして、タイヤの左側の前輪がパンクしていることに気づきます。

このままでは、スーパーには行けません。

(再現CGメーカーで作成。初めて使ったので、制作時間約50分)

 

みなさんは、どうするでしょうか?

 

・車を置いて家に帰る

・大声で「誰かー!!」と叫ぶ

・自動車保険の会社に電話する

・自分でその場で修理する

 

などなど、解決策(解決していないのもありますが)へ向けて、行動に移すでしょう。

 

 

今度は、パンクではなく、「左折しかできない」ということに気づいたとします。

 

今度はどうするでしょうか?

 

・車を置いて家に帰る

・大声で「誰かー!!」と叫ぶ

・自動車保険の会社に電話する

・左折だけでなんとかスーパーに行く

 

などなど、こちらも解決策に向けて、行動に移すかもしれません。

 

立ち止まって、車の中に閉じこもり、何もせずに時間を過ごす、という方は

あまりいらっしゃらないのではないでしょうか。

 

しかし、これが自分の体や性格だったらいかがでしょう?

想像してみてください。

 

目標はあるのに、頭が悪いから、身長が低いから、太っているから先に進めない。

目標はあるのに、恥ずかしがり屋だから、怒りっぽいから、怠け者だから先に進めない。

 

こちらの場合は、当てはまる人も多いと思います。

傷ついたり、失敗するのが怖かったりして、一歩踏み出すことが難しい。

左折しかできない車であれば、なんとか努力して目標に向かうのに、

恥ずかしがり屋ならば、目標は諦める。

自分は車とは違いますから、そう簡単に行動には移せませんよね。

 

 

スヌーピーという犬、チャーリー・ブラウンという男、ルーシーという女などが登場する

「ピーナッツ」という漫画の中で、

女と犬がこんなやりとりをしています。

 

女:時々、あなたがどうして犬なんかでいられるんだろうって不思議に思うわ。

( Sometimes I wonder you can stand being just a dog… )

犬:配られたカードで勝負するしかないだろ? それがどういう意味であれ。

( You play with the cards you’re dealt… Whatever that means. )

 

 

我々にとって、「配られたカード」とはなんでしょうか。

いくつかあると思いますが、パッと思いつく代表的なものは「遺伝子」です。

 

 

ここでようやく本題です。

 

先日、某公共放送にて、「遺伝子」の番組が放映されていました。

最新の研究では、DNAを調べることで、顔の形状や性格までがわかるという話です。

 

実は私、4年ほど前に、自分の遺伝子を検査してみました。

・人見知り

・初志貫徹

・共感しやすい

・孤独を感じやすいウサギさん

などなど、「本当は探偵か何かを雇って調べたんじゃないの?」というくらい

言い当てられています。

病気や体の性質、体内の栄養素で不足しがちなものなどもわかります。

 

一方、自覚しているものとはちょっと違うものも存在します。

・記憶能力が高い

・ストレスを感じやすい

・情緒豊かで感傷的になりやすい

などなど。

 

※片桐の遺伝子検査結果の一部

 

周りから見ればどうかはわかりませんが、最近物忘れも激しいですし、ストレスもあまり感じない。

どちらかと言うと「サイコパスか?」と思われるくらい、情緒を豊かに表現することもありません。

本当に遺伝子情報が正しいとすれば、「生きているうちに変わってきた」と言えるのではないでしょうか。

 

 

先述の「遺伝子」の番組では、そんな「生きているうちに変わることもあり得る」と言う最新の研究が紹介されていました。

「エピジェネティックス 」と言うやつです(実はワンネスグループ の活動ブログでも以前紹介しました→コチラ)。

簡単に言えば、「各遺伝子には、その能力を使うかどうかを決める『スイッチ』が存在する」と言うものです。

記憶する能力が高くても、記憶力が使われなければその遺伝子スイッチは「OFF」の状態になるでしょうし、

ストレスに晒されることが少なければ、ストレスを感じやすい遺伝子も「OFF」になる可能性が高い。

(遺伝子によっては、その情報が孫の代まで継承することもあるようです。まだ一部しかわかっていないようですが)

 

 

そう考えると、遺伝子ももはや、「配られたカード」ではないかもしれないことがわかります。

努力次第で、(遺伝子そのものは変えられなくても)スイッチのONーOFFは切り替えられるのです。

 

先ほどの私の遺伝子検査で言えば、

記憶力やストレスの部分の遺伝子情報との乖離は、環境によって形成されたと言うことができます。

まだ研究途中の分野なので、下手なことは言えませんが、

幸せを感じやすい遺伝子を持っていても、そうでなくても、

「小さいことでも幸せに感じる訓練」をすれば、幸せを感じやすくなるでしょうし、

孤独を感じやすい遺伝子を持っていても、そうでなくても、

いつも周りに人がいて、孤独を感じない人生を送っていれば、孤独も感じにくくなるでしょう。

 

 

さて。

仏教の用語に「諦観」と言うものがあります。

字をみてわかる通り、「諦める」ことです。

 

しかし、この「諦める」という単語。

現在我々が使っている意味とは、本来違っていたそうです。

 

「諦める」の元は「あきらかにみる」。

「ダメだ」と思考停止するのではなく、

その悩みや問題の原因を明らかにして、受け入れ、解決策を練る。そして実行する。

車の中で何もせずに時間を過ごすでも、恥ずかしがり屋のために立ち止まって前に進まない、でもなく、

原因と向き合い、淡々と処理して前進する。

これが本来の「諦観(諦める)」という用語です。

 

 

依存症の自助グループなどで使用され、広く知られている

「平安の祈り」という祈りの言葉があります。

 

神様 私にお与えください。

自分に変えられないものを 受け入れる落ち着きを!

変えられるものは 変えていく勇気を!

そして 二つのものを 見分ける賢さを!

 

自分の身長や慢性疾患は、変えられません。

他人も、思うようには変えられません。

しかし、自分の性格の一部、そして自分の運命は「変えられるもの」です。

 

それは困難なことかもしれません。

他の人よりも遠回りかもしれません。

しかし、原因を探り、対策を練り、実行すれば、

必ずや目標に近づいていきます。

目標の地点ではなく、その進歩を一つ一つ噛み締めるとき、そこに「幸せ」はあると思います。

 

「変えられるもの」であるならば、今の悩み、困っていることも、必ずや解消されます。

それは、左折を続ければ、いつか必ず目標地点に到達するのと同じことと言えるかもしれません。

 

ということで、お読みいただきありがとうございました!

 

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