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2019.07.03
笑顔
ひろしさん(撮影:ユウさん)
誰かがいかに賢いか、いかに愚かか、いかに善良か、いかに意地悪か、あるいはその瞬間、何を考えているのかを見出したいと思ったら、私は相手の表情に出来るだけ近い表情を自分で作り、心にどんな気持ちが浮かんでくるかを待つ。
エドガー・アラン・ポー
わたしは笑い方でその人間がわかるような気がする。ぜんぜん知らない人にはじめて会って、その笑いが気持がよかったら、それはいい人間だと思って差支えないと思う
フョードル・ドストエフスキー
こんにちは。
先日、笑顔に関する
こんな記事が紹介されていました。
笑わない人は死亡率2倍(山形大学調査)
かねてより、海外では
「笑顔の方が長生きする」という研究が発表されていました。
例えば、
メジャーリーガーのプロ野球カードの写真で、本当の笑顔の人の方が、作り笑いの人よりも7年長生き(英語)
とか。(作り笑いとは、この場合「口だけ笑顔で目が笑ってない」こと(非デュシェンヌ型笑顔)をさします)
しかし、世界的にも表情に感情が出にくいと言われている日本人で
笑顔と死亡率の関連性が発表されたのは、有意義だと思います。
ちなみに日本人は、相手の笑顔が消失することに敏感に反応する(他の感情の消失には鈍感)とか。
→コチラ(英語)
実際そうかもしれませんね。
面白いこと、楽しいこと、幸福を感じることを経験すれば
免疫系にも影響しますし長生きするのもわかりますが、
あまりポジティブな体験がないという方もいらっしゃるかと思います。
ポジティブな体験を見つけるためのアンテナをはるよう訓練するのが
抜本的な解決だと思いますが、これは結構時間がかかる。
そこで紹介したいのは、「作り笑いでも笑顔を作れば、楽しい気持ちになる」
という30年前くらいの仮説。
これを「表情フィードバック仮説」と言います。
ダーウィン、ウィリアム・ジェイムズなども言っている、
「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいのだ」
という考え方から来たものです。
ここで、1988年に行われた「顔面フィードバック仮説」を実証するための
「鉛筆実験」を紹介しましょう。
フリッツ・シュトラックらの実験です。
感情は表情に影響を与えるが、表情は感情に影響を与えるのかどうか、
調べました。
実験の概要はこんなかんじです。
要するに、クチビルで鉛筆をはさみながらのグループ(無理やりしかめっ面を作る)と
歯で鉛筆をはさみながらのグループ(無理やり笑顔を作る)では、
同じマンガを見せても面白さを感じる度合いが違ったんだそうです。
もちろん、無理やり笑顔を作ったほうが面白く感じました。
もうちょっと続きそうなどんよりした天気。
気持ちを下がってしまいがちですが、
つとめて笑顔にしてみるといいんじゃないでしょうか。
注:かなり落ち込んでいる時には逆効果であるという研究もあります。
「そんなに落ち込んでいないけれども、ちょっと気分を上げたいな」ぐらいの時に
お試しください。
「いやいや。作り笑いじゃ気分は上がらないよ。」とおっしゃる方。
どうすればいいか。
その場合は…
笑顔で幸福な人の近くに行って、その汗の匂いを嗅いでみてください。
この冗談のような提案ですが、オランダのユトレヒト大学の心理学者が、
こんな研究を発表しています。
汗の中の化学物質は肯定的な感情を伝えるかもしれない。(英語)
幸福を感じている時にかいた汗は、それを嗅いだ人も笑顔にする、
という実験です。
にわかには信じられませんが。
(私の仮説では、現代人は嗅覚が退化してしまっているけれど、元々は相手を判断する基準に使っていたのでは?と考えています。嗅覚については、また後日。)
しかし、こんなことを書いてしまうと、
変質者の方が「読んだブログに書いてあった」と
私を悪者にしかねません。
身近な幸せな人限定で試してください。
汗を嗅ぎ合えるほどの関係性にない方も、
笑顔の人の近くに行くことはできるはず。
表情は(脳内のミラーニューロンの影響により)伝染するものです。
相手が笑ってたら、自分も笑いたくなる。
相手が泣いてたら、自分も泣いてしまう。
この世界の共通言語が「笑顔」になることは、まだ先かもしれませんが、
難しい顔、難しい話、今ちょっと置いといて笑いあってみませんか?
ということで、高橋優さんの「福笑い」の動画を。
今日もお読みいただき、ありがとうございました!