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2019.06.15

自分を知る

こんばんは。

 

(日付が変わったので)一昨日はワンネスグループ大阪オフィスにて、

「依存症支援者向け勉強会」が行われました。

 

新幹線で東京から向かって、

大阪オフィスに行き、勉強会を行い、

せっかく大阪に来たので、帰りがけに一人でお好み焼きを食べたのですが、

美味しいお好み焼きを劇的にマズそうに撮影することに成功しました。

 

まあ、今日のブログの内容には全く関係がないのですが。

 

さて、話は戻って。

先述の「依存症支援者向け勉強会」は、全4回。

横浜(→チラシはコチラ)と大阪(→チラシはコチラ)で開催中(次回は8月)です。

 

この勉強会では、人間が行動に移すまでの段階を説明する「行動変容ステージ」ごとにお話しています。

 

今回は、最初なので「無関心期」。

依存症であることを否認し、治療や回復に対して全く興味を持っていない方々にどのように接するか、

という話でした。

具体的には「信頼関係を築くためにはどうするか?」というお話だったのですが…

 

 

私の手元にある「心理学手帳」によれば、

今日は心理学者のE.H.エリクソンの誕生日。

(心理学関係の有名人のうち、ミルトンじゃない方のエリクソンです)

信頼関係の話はそのうちするとして、

勉強会の中で、余談でお話した「アイデンティティ」について書きたいと思います。

 

「自分とは何か(どんな人間であるか)」という問いに対する答えの実感が「アイデンティティ(自我同一性)」です。

E.H.エリクソンによれば、青年期(以降)になるとアイデンティティを見つけることが課題になってきます。

このアイデンティティに確信が持てないままでいる(同一性拡散)と、対人不安や無気力感を感じる、と言います。

これには「自分にとっての居場所(所属感)」を見つけるのも有効です。

所属感は人生の意味の実感を高める働きもあります。(→コチラ(英語))

 

会社の役職や肩書きも、アイデンティティに寄与しますが、

所詮はかりそめのもの。

内面のアイデンティティを確立しないまま、退職したり、降格して役職が無くなってしまえば、

精神的危機に陥る可能性があります。

一方、「自分とは何か」の確信が持てないのに、精神的な危機が訪れない人も大勢いらっしゃいます。

wikipedia情報によれば、E.H.エリクソンさん自身がアイデンティティの危機に陥ったらしいですから、

「自分がそうだから、他の人もそうであるに違いない」と思ったのでしょう。

心理学の場合、自分の経験を理論にする事が多いんです。

フロイトのエディブスコンプレックスしかり。

アドラーの劣等感しかり。

結果的に心理学の大きな進歩に繋がったわけです。

 

心理学で昔から(と言っても1955年)言われているものに、「ジョハリの窓」というものがありますが、

自分を知り、相手にも自分を知ってもらうことで、

相手とのコミュニケーションがスムーズになるとも言われています。

やはりここでも、「自分を知る」ということが大事なのです。

昨日はこの話あたりから、下記のような話に脱線していきました。

 

それでは、「アイデンティティを確立する」「自分を知る」にはどのようにしたらいいんでしょうか?

 

ここで、(一見関係のない)「バーナム効果」というのを紹介したいと思います。

 

まずは、本日3度目の登場wikipediaのバーナム効果の、フォアの実験の四角に囲まれた部分を読んで、

ご自身の性格と照らし合わせてみてください。

そして、ちゃんとこのページに戻ってきてください。

 

どうですか?結構合っていませんか?

wikipediaの文章にも書いてある通り、四角に囲まれた文章は、ちまたの星座占いの文章を組み合わせたものです。

でも、誰でも「あー、自分ってそういうところがあるな」と思うのです。

 

「努力しているのに、なかなか評価されない時があった」と言われると、それに該当する出来事を思い浮かべますよね?

占いをやっている人の一部は、このテクニックを使って相手を信用させています。

 

人間、程度の差こそあれ、誰しも「緊張する」ことはありますし、

「優しい」場面もあります。

 

逆に、「私は優しい人間である」と思っていたとしても、目の前の相手が私の優しい場面を見た事がない場合は、

それを認めてくれないかもしれません。

これは果たして「私は優しい人間ではない」という証拠になるでしょうか?

 

私が思うに、アイデンティティの妨げになるものの一つは、

「実際そうであるかの確証が持てない」というところにあるんだと思います。

 

大谷さんや藤井さんのように、おそらく誰しもが認める特技があったり、

わかりやすいラベル(役職や肩書き)があったりすれば、確証は持てると思います。

しかし、我々一般市民の多くは、そういうものを持っていません。

「○○ちゃんのお母さん」というラベルも使えるかもしれませんが、

「母親らしくあったか」を考えだすと、途端に自信が無くなってしまうかもしれません。

 

「自分とは何か?」の答えを100%言い表すことは不可能なのです。

 

ここまで話を理解したとしても、依然「私は何者であるか?」を知りたい欲求は収まるものではありません。

アイデンティティの拡散による精神的危機に陥ってる人に、

「正解なんかないんだから、悩まなくていいんだよ」と言っても、

慰めにはならないのです。多分。(人によって安心する人もいるかもしれませんが)

 

では、どうすればいいのか。

ここで私が訴えたいのは「事実かどうかは置いておいて、そうだと思い込む事が大事」という事です。

もったいぶって言うほどのことではありませんが。

 

「人に優しくする事が好き。でもそうじゃない事もあったな。」

のような方。

 

いいんです!「自分は人に優しくするのが好きな人間」と自覚し、自分に言い聞かせてください。

 

「自分は釣りが好き。でも周りに比べれば下手くそなので、自慢するほどではないな」

 

いいんです!比べなくても。「好き」と言う気持ちは立派なアイデンティティになり得ます。

 

人と比べず、自分の感情に正直になって、自分の新しい部分を自覚していく。

ただ漫然と何かを行うのではなく、その時の心の動きを自覚する。気づく。

そうすることで、徐々に自分像が形成されていくんだと思います。

 

具体的にはどうしたらいいか?

 

新しいことにどんどんチャレンジしてみてください。

興味を持ったことや心が動いたことがあったら、すぐにメモを取ってリスト化。

片っ端からやってみる、と言うのもいいかもしれません。

色々な人と会うのもオススメです。

(心理学的に「そう言われている」ことを紹介してますが、人に言っておいて私はあまり実践できていません…)

 

そもそも自分がどんな人間か、思いつきもしないという方。

心理テストをするのもいいかもしれません。

できればしっかりしたやつ。

例えば、自分の強みを知ること(そしてその強みを活かすこと)は、自己肯定感を高めるにも役立つので、

強みを測るテストなんかもオススメです。

VIAテスト

↑英語が表示されてビビりますが、言語を選択する部分がありますので、ご安心ください。

 

「自分がこうである」と思い込む力は、自己実現にとっても重要です。

おそらく依存症や他の状況からの回復にも、役にたつでしょう。

 

思い込みが激しい。

上等。

そう思われるのが恥ずかしいなら、

「思い込みが激しいけど、それと悟られない作戦」を考えればいいと思います。

 

自信のなさや無気力感、対人不安にお悩みの方。

上記のようなアイデンティティを確立する作戦を立ててみてはいかがでしょうか。

 

「思い込みの力」の効果に関しては、また別の機会にも。

 

ということで、今日もお読みいただき、ありがとうございました!

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