心身の回復とウェルビーイングな生き直しを。

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2017.05.20

「利害を超え、社会的コスト低減の協動を。」東京と大阪でギャンブル依存症対策フォーラムを開催しました。

「アメリカの先進事例を知る」と題した、ワンネスグループギャンブル依存症対策フォーラム。
 
5月13日に東京、翌14日に大阪で開催され、多くの皆さまにご参加いただきました。
フォーラムの様子について、グループ共同代表の三宅隆之がレポートします。
 
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いわゆるカジノ法案（IR推進法案）が昨年末に成立した直後から、政府や与党を中心にギャンブル依存症対策の内容検討、法案化が進んでいます。
 
依存症治療共同体ワンネスグループは、ギャンブル依存症者ご本人やご家族への支援が本格的に始まった2011年から、ギャンブル依存症への理解を深める啓発活動も並行して実施。その後、支援の幅を広げ、依存症予防のための活動にも取り組むようになりました。
 
ここ数年、カジノ法案の是非が国民的話題となるのに比例して注目が集まっていった、依存症。
その関心の高まりを、支援の現場にいる私たちは肌で感じていました。
 
そして、いま。
変わらずの関心が、対策の中身に対して集まっているでしょうか？
そもそも、依存症についての理解は広がっているのでしょうか？
 
 
『まずは知ること。そして対策は地域から。』
 
ワンネスグループは、今年に入り、関係各所への提言もさることながら、ギャンブル依存症についての啓発セミナーや個別相談会等を各地できめ細かに開催するといった「原点」を見つめなおした活動を行っています。
 
理由は、ギャンブル依存対策の外側だけが急速に形づくられても、その中に魂が無い状態で、効果的なものとなりえるのか・・・という懸念があるからです。
 
ギャンブル依存は、カジノ設置への賛否以前から存在している問題。まさに今苦しむご本人やご家族へ、どうすれば速やかに支援を差し出すことができるのか？今後起こる可能性がある問題をできる限り防いでいく為には何が必要なのか？
 
私たちは今回、この課題についてひとつのアイディアを知るために、アメリカから全米問題ギャンブル協議会（ＮＣＰＧ）の専務理事を務めるキース・ホワイト氏を招いて、東京と大阪でフォーラムを開催。将来的にＩＲを設置したいと考えている自治体の議員や職員、既存ギャンブルや遊技の運営者や担当者、医療・福祉関係者、その他実に様々な立場の方にご参加いただきました。
 

 
今回のキース氏による講演のポイントは４つ。
 
・ギャンブル依存症とは何か？
 
・IRはギャンブル依存症の有病率を増加させるのか？
 
・推奨される責任あるゲーミング（遊技やギャンブル等の娯楽）のmeasures（措置または基準）は何か？
 
・地域における協力のモデルとは何か？
 
 
「暴露（機会）の増加は問題ギャンブルを悪化させうるが、リスク因子はまだよく理解されていない。一方で、時間の経過とともに人々は新規・拡大ギャンブルに適応し本来（ベースライン）の有病率近辺まで戻る。」と、暴露と適応の理論を紹介。ただし、適応は自動的には起こらず、適応を起こすべく注力された総合的なプログラムの必要性をキース氏は強調しました。
 
キース氏は、さらに「それは、ゲーミングの設置者のみならず、国や地方などの行政、医療・福祉、司法関係、そして民間の諸団体がそれぞれの立場で、それぞれの範囲内で担っていく。その取り組みが、有病率を減らすかは明言できないが、最低でも問題度を軽くする傾向はある。」と続け、様々な立場にいる人たち（＝ステークホルダー）を繋ぎ合わせる役割がＮＣＰＧのようなＮＧＯにはあり、ワンネスグループにも日本国内で同様の役割を果たしてほしいと、期待を寄せました。
 
フォーラムでは、米国内で実際に取り組まれている対策を紹介。
キース氏は最後に、「アメリカやシンガポールなどに先例があるが、全くのコピーではなく日本の文化に合わせた対策が必要。責任あるゲーミングへの投資により、日本がこの分野のリーダーシップをとる事もできる。そのためには、公的・民間のパートナーシップがかかせないのではないか」と講演を締めました。
 

 
今回、ワンネスグループは、「ギャンブル依存症とは？」や、「治療・回復に必要な事とは？」のような従来の論点とは異なる切り口でフォーラムを開催しました。
今回のテーマに関心を持たれ参加された皆さまは、それぞれがギャンブル依存症対策の担い手となると考えます。
 
そして、それぞれがギャンブルの是非を超えた地点で協働できるのであれば、「ギャンブル依存症とは？」や「治療・回復に必要な事とは？」といった大切なメッセージを、いまこの瞬間に必要としている方たちへ、広く効果的に届けることが出来るのではないでしょうか？
 
なお、今年の９月には、今フォーラムでもビデオ出演いただいた、ロリーン・ルーグル博士（ＩＧＣＣＢ：国際問題ギャンブルカウンセラー認定委員会代表）を招き、国内向けの認定トレーニングの第２期を実施するとともに、東京と大阪で支援者向けのセミナーを開催予定です。
 
回復支援、相談支援の現場を持つ私たちワンネスグループとして、ギャンブル依存症対策に何が貢献できるか。今後も冷静に考えながら活動を続けていきます。
 
ワンネスグループ共同代表　三宅 隆之
 
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