ギャンブル依存症を知る
多くの人が趣味の範囲内で
楽しむことができているギャンブル。
それなのに、まさか自分が...
まさかあの人が...。
アルコールや薬物への依存のように身体に
大きな影響は出ないものの、
時間や金銭のコントロールができないことから、
家庭や職場など社会的な場面に
影響が見られます。
多くの人が趣味の範囲内で
楽しむことができているギャンブル。
それなのに、まさか自分が...
まさかあの人が...。
アルコールや薬物への依存のように身体に
大きな影響は出ないものの、
時間や金銭のコントロールができないことから、
家庭や職場など社会的な場面に
影響が見られます。
ギャンブル依存症(依存している状態)とは、パチンコやパチスロ、公営競技(競馬・競輪・競艇・オートレース)、くじ(宝くじ・スポーツくじ)のようなギャンブル(賭け事)に過度にのめりこむことで自分をコントロールできなくなり、結果として、家族や周囲の人たちを傷つけ、社会生活が送れなくなってしまう状態を言います。
また、最近のワンネス財団への相談で増えてきているのは、一部の金融商品(FXやバイナリーオプション等)への投資がコントロールできないという内容。投資がギャンブルに当たるのかという議論がある一方で、過度な投資をやめられずに苦しんでいるご本人やご家族が少なからずいらっしゃるのも事実です。新型コロナウイルス感染防止に関する在宅時間の増加、社会状況の先行き不透明感などがメンタルヘルスへ影響を与え、外出せずにできるギャンブル(競馬、競輪、競艇、オートのオンライン投票)へ接触する方が増え、その中で問題を抱えた方からの相談が増加傾向にあります。さらには、海外のサーバーへ接続するオンラインカジノ、インターネットカジノへののめり込みで問題を抱える方もいるなど、一昔前とは違った問題ギャンブルの様相が現れています。
※パチンコやパチスロは、法的にはギャンブルではなく風営法上の遊技とされていますが、その営業形態や射幸性からギャンブルのひとつと捉え、「ギャンブル依存」ではなく「ギャンブル等依存」とすることがあります。なお、2018年10月5日に施行された「ギャンブル等依存症対策基本法」では、ギャンブル等依存症の定義を、『ギャンブル等(法律の定めるところにより行われる公営競技、パチンコ屋に係る遊技その他の射幸行為をいう。)にのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態をいう。』としています(条文一部抜粋)。
ギャンブル等依存対策基本法が作られるに至った大きなきっかけとして考えられるのは、日本国内へのIR(統合型リゾート)の導入。IRのなかにカジノが含まれるということが、依存症者の増加につながるのではないかという懸念が強いことから、カジノのみならずギャンブルやギャンブル性のある遊技も含めた包括的な依存対策を行っていくことにつながりました。現在、一部の都道府県において、先に述べた国の基本法に沿った「ギャンブル等依存症対策推進計画」の策定が始まり、また国や地方の関係機関や民間団体等による相談受付や啓発活動などの動きも見られます。
ワンネス財団の考えとしては、過度に懸念を抱かず冷静に依存対策・・・それも根本的な対策を進めていく必要があるということ。ギャンブルの存在自体が依存を作り出しているという単純な話ではなく、表面的な批判では何の解決にもつながりません。大切なのは次の項で触れる、その人自身の「こころの問題」の解決です。
趣味程度にできる人から、
問題が起こっても
やめられない人まで
ギャンブル依存の状態が進行することにより、高額・高頻度の借金、窃盗や横領、強盗などの罪を犯してでも、ギャンブルを続けてしまう場合があります。問題が頻発し悪化していく状況については、当の本人も理解しています。そして、この事態を何とかしなければならないと自分なりの解決行動を取ろうとしますが、長続きせず、さらに悪化の一途をたどっていくのがギャンブル依存症者(だけではなく、他の依存についても同様)の一般的なパターンです。健康的に節度をもってギャンブルを楽しむことができる人が多い中、一部の人はなぜそうなってしまうのでしょうか?
ギャンブルによって得られる刺激や高揚感などを脳が「報酬」「良いもの」と認識することで、娯楽や気分転換になる方が多くいます。
その一方で、依存症(依存している状態)者や依存の傾向の高いかたは、自身の苦しい生き方や、こころのなかに生じるネガティブな感情(ワンネス財団では、生きづらさ・生きづらい感情と呼んでいます)の対処手段としてギャンブルの刺激や高揚感を欲するようになるので、時間や金銭のコントロールが効かなくなり、問題が生じてもやめられないという状態に陥るのです。
この考え方を基にすると、当事者ご本人には元々不快なこころの状態があり、何らかのギャンブル行為によって不快な状態を払しょくできたというある種のメリットを感じ、そのメリットを頻繁に感じていたい欲求から頻回のギャンブルにのめり込み、依存症(依存している状態)に至る、という表現に言い換えることができます。ですので、ギャンブル依存の問題は「(脳の)病気」という表現もできれば、生きづらさにまつわる「こころの課題」という見方ができ、「なぜ私はそこまでギャンブルが必要だったのか」という問いを立てることが、解決のきっかけとなります。
私たちワンネス財団は、WHO(世界保健機関)が定義する「健康」の状態を踏まえて、依存を抱えている方は肉体的、精神的、社会的の各側面が良好な状態ではなく、その状態を埋め合わせていくために依存に陥っていると考えます。それら各側面を良好にしていくことは言い換えれば‘Well-Being(ウェル・ビーイング)’にもつながり、単に依存対象を断つことや近づかないことが解決ではない・・・全人的な回復成長こそが依存問題解決のみならずギャンブル依存症予防にも必要なのです。
なお、ギャンブル依存は、世界保健機関やアメリカ精神医学会などの国際診断基準において、アルコールや薬物依存症と同じ精神疾患に分類されています。
公式病名は世界保健機関(国際疾病分類/ICD)では「病的賭博」、アメリカ精神医学会の基準(DSM)では「ギャンブル障害」とされています。
診断基準とは別に、自身の状態を知る上で参考になるチェック項目(スクリーニングテスト)があります。
ここでは、SOGS(サウス・オークス・ギャンブリングスクリーン)を挙げます。
なお、チェック項目については、他にもギャンブル依存症の当事者グループであるGA(ギャンブラーズ・アノニマス)がメンバーの経験を集積し作成した「20の質問」などがあります。
これらは、あくまで依存症(依存している状態)かどうかの可能性を判断するものです。結局は、チェックされているご自身が「いまの状況をどう捉え、これからどうしたいのか」を考え、考えた方向性に沿った行動をすることが大切です。
質問1:c.d 質問2・3:b.c 質問4〜11:aが各1点 質問12は○1つにつき1点。
3点、4点は「問題あるギャンブルの状態」 5点以上が「ギャンブル依存症の疑い」
質問 | 回答 | |
---|---|---|
1
|
質 問 1 ギャンブルで負けたとき、 負けた分を取り返そうとして 別の日にまたギャンブルをしますか? |
回 答 |
2
|
質 問 2 2 ギャンブルで負けたときも、勝っていると 嘘をついたことがありますか? |
回 答 |
3
|
質 問 3 3 ギャンブルのために何か問題が生じた ことがありますか? |
回 答 |
4
|
質 問 4 4 自分がしようと思った以上にギャンブルに はまったことがありますか? |
回 答 |
5
|
質 問 5 ギャンブルのために人から非難を受けた ことがありますか? |
回 答 |
6
|
質 問 6 6 自分のギャンブル癖やその結果生じた事柄に対して、 悪いなと感じたことがありますか? |
回 答 |
7
|
質 問 7 ギャンブルをやめようと思っても、 不可能だと感じたことがありますか? |
回 答 |
8
|
質 問 8 8 ギャンブルの証拠となる券などを、 家族の目に触れぬように隠したことがありますか? |
回 答 |
9
|
質 問 9 ギャンブルに使う金に関して、家族と口論になった ことがありますか? |
回 答 |
10
|
質 問 10 10 借りた金をギャンブルに使ってしまい、 返せなくなったことがありますか? |
回 答 |
11
|
質 問 11 ギャンブルのために、仕事や学業をさぼった ことがありますか? |
回 答 |
12
|
質 問 12 12 ギャンブルに使う金はどのようにして作りますか? またどのようにして借金しますか? あてはまるもの全てに○を |
回 答 |
大久保 秀司ワンネス財団 沖縄GARDENスタッフ
私が競馬を初めてやったのは19歳の時、アルバイトの先輩に誘われたのがきっかけでした。
もともとパチスロのギャンブル依存が止まらなかった私は、家族へのお金の無心をどうにかして止めたい一心で安易に犯罪に手を出す選択を取ってしまい、結果、刑務所に入ることになってしまいました。約6年という長い受刑生活にもかかわらず、頭の中はギャンブルのことでいっぱいでした。 出所後に自分を待っていたのは、同世代の友人たちの出世、結婚、マイホーム購入などの幸せそうな話ばかりでした。その中で私は勝手に被害的になり、見栄を張るために嘘をつき続け、自分で居場所を感じられなくなっていきました。どうせ自分は何をやってもうまくいかない、だからギャンブルで勝ったお金で誤魔化し続けるしかない、それが無くなってしまったら居場所がなくなってしまう・・・だからギャンブルを続けるしかないという思考に陥りました。 仕事にも手がつかず、行きついた先は違法ギャンブルのネットカジノ店でした。24時間営業の上に動くお金も桁が違う。パチンコ屋とは比較にならない勢いでお金が無くなっていきました。負けることは自分の存在が否定されることと同じと感じていた私は、家族ばかりでなく、会社のお金にも手をつけ、友人たちに対しても嘘をつき借金を重ねるようになりました。当然返済することも出来ず、行く着く先は多額の借金と孤立でした。
真篠 剛(ワンネス財団本部 相談ダイヤル担当)
10代後半にギャンブルと出会いました。当時は友人との遊びやコミュニケーションの一部として適度に遊べていました。大学への通学途中、目の色を変えて開店前から店に並ぶ人たちを横目に、「自分はこんなふうにはなりたくない」と思っていました。しかし、「負け」始めると周囲に自分の経済状況をさとられたくない思いから借金をするようになり、なんとか周囲に気づかれずに負けを取り戻したいという思いから依存に陥っていきました。必死で「負け」を取り戻そうとすればするほど、借金は増え、さらに自分のみじめな状況を知られたくないという思いも重なり、依存をさらに続け、孤立していきました。そして、留年や周囲・家族との関係不和、盗みまでするようになっていました。
それぞれの機関は、利用料の有り無し、保険適用の有無、通所か入所か、サポート体制の濃さ、プログラム内容など、異なった特徴を持っています。ひとつだけ利用する人もいれば、幾つか組み合わせて利用している人もいますが、いずれにせよ、今までの苦しい生き方を変えるためには、どのような方法にせよ今までとは違った行動をとる必要があります。
ワンネス財団では、以下の方法で個別相談を受け付けています。
依存症を経験したスタッフ、家族としての立場を経験したスタッフがお話を伺います。
ワンネス財団では、ギャンブル依存症に関する国際的な支援団体のひとつである
IGCCB(国際問題ギャンブルカウンセラー認定委員会)の日本窓口として、
世界基準のカリキュラムをオリジナル化しています。また国内で専門カウンセラー育成のための講座を開き、サポートのために必要な知見を提供しています。
仮釈放・満期出所後の元受刑者や少年院出所者に対し、ソーシャルスキルやビジネススキルなどを磨くための入所型トレーニングカリキュラムを提供。受刑者が 自身の強みを活かし、生きがいを持って社会復帰できるようサポートしていきます。
仮釈放・満期出所後の元受刑者や少年院出所者に対し、ソーシャルスキルやビジネススキルなどを磨くための入所型トレーニングカリキュラムを提供。受刑者が 自身の強みを活かし、生きがいを持って社会復帰できるようサポートしていきます。
依存症専門のトレーニングを受けたスタッフによる講義をオンラインで視聴できます。(視聴には会員登録が必要です) 「依存症についてより深く学びたい/自分が心身ともに回復していきたい/依存症当事者にどう接してよいのか分からない」などお考えの方、ぜひご利用ください。
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