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ワンネスグループ活動ブログ

2019.02.05

知っておきたい「インターネットゲーム依存症」の実態 ~放課後等デイサービス運営法人で出張セミナーを開催~

今回の活動ブログは、奈良県生駒市で開催されたインターネットゲームについての「出張版 依存症を知るセミナー」の様子をレポート。
 
講演を担当した、ワンネスグループ共同代表の三宅隆之がお伝えします。
 

 
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『知ることは防ぐこと、知ることは解決への一歩』というキャッチフレーズのもと開催しているワンネスグループの「依存症を知るセミナー」。
 
昨年は、北は北海道稚内市から南は沖縄県石垣市まで、グループ主催事業として82回を開催。
 
そこに、各自治体や諸団体、福祉医療機関、学校や企業などからのご依頼をあわせると、週に2,3回は国内のどこかで私たちスタッフがお話をしているという計算になります。
 
今年も年始から各拠点のスタッフたちが精力的に講演活動を行うなか、先日、奈良県生駒市にて出張版セミナーを実施する機会をいただきました。
 

 
 
今回の主催団体は、市内で放課後等デイサービスなどを運営されている「一般社団法人 無限」さん。
 
昨年、サービスを利用されている方の親御さんから、ゲームやSNSなどとの関わりについての相談が急増し対応に苦慮しているなか、たまたまワンネスグループの活動を見つけられたそうです。
 
ワンネスグループでもインターネットやゲームに関する相談が急増したことは、先日のブログでもお伝えしたところです。

ネットゲームに関する件数が倍に・・・「ワンネスグループ依存症相談ダイアル 昨年のまとめ」


 
 
これは‘偶然の一致’ではないと思います。
 
ご存知の方も多いと思いますが、WHO(世界保健機関)の国際疾病分類の最新版(ICD-11)に「ゲーム障害(症)」が盛り込まれることになった、という報道が昨年中ごろに多く流されました。
 
それらを見聞きした親が「もしかしたら、うちの子が・・・」との不安を持たれたのではないかと推測します。
 
疾患とされることについて、一部の専門家からは「エビデンスが不十分で時期尚早」との声が上がっているそうですが、生活リズムの乱れ、学業や仕事への影響、課金等の問題は現実に生じているところであり、依存症であるかどうかとか、疾患とされるかどうか・・・という専門家の皆さんの議論を脇においても、問題への現実的な対処が求められているのは事実です。
 
ワンネスグループは医療機関ではなく、心理社会的な支援を提供する民間団体ですので、セミナーでは「なぜ、その人の生活に、そこまで依存対象(今回の場合はゲームやSNS)が必要なのか」という疑問と「その人が(依存対象に出会う前から抱えている)生きづらさ、生きづらさを作り出すその人の物事の捉え方や考え方」がリンクしているという点を、できる限り丁寧にお伝えしています。
 

 
 
今回の出張版セミナーは、1月と2月の2度に分けて、同じ内容で実施。
 
親御さんたちのみならず、支援者の方などトータルで100名近くの皆さまにご参加いただきました。
 
冒頭で依存症全般についての基礎的なお話をさせて頂いたあと、奈良施設を利用して依存脱却の歩みを続けている2名の経験者に、インターネットゲーム依存症の実体験を語ってもらいました。
 

 
 
借金や生活への影響などの明確な問題は20歳を過ぎてから表れてきて、その問題を認識しながら依存傾向が深まるばかりだった、経験者たち。
 
しかし、一人は子どものころはあまりゲームに関心は無く、もう一人は親からの体罰がもとで関係性が悪く小学生のころからゲームが手放せないものになっていった。
 
子どものころは関心がなかったという彼も、大学時代の途中から社会人にかけてゲームが手放せなくなっていくのですが、その背景には人間関係の取りづらさがあったそうです。
 
 
「居場所が無かった」と、経験者たちは口を揃えます。
 
もちろん、依存傾向が深まるなかで問題を起こし続けると居場所が無くなっていくのですが、ポイントはそのずっと前。
 
依存対象に出会う前から、居場所と感じられる場所や人とのつながりが無かったり、あっても僅かだったという心理的な状況の中で、ゲーム内の空間やプレイヤー同士のつながりが居場所と感じられるようになっていったということです。
 
それは、かつてギャンブルやアルコールに依存し、しまいには犯罪まで起こした私も共感できるところです。
 
居場所は自分で作るものだろうという思いとは裏腹に、どのように相手と関わって良いかわからず、時にぶつかった壁に自分自身を壊してしまうそうなインパクトを感じ、苦しさをどうにもできなかったとき・・・高校時代に酒に出会い、大学時代にギャンブルに出会いました。
 

 
 
依存から脱却していくうえで必要だったのは、居場所を作ることができるという希望を目の前の「仲間」たちから感じ、そのために必要なことを知り、一歩ずつ取り組むというプロセスでした。
 
ゲームは楽しい。いまでもやりたいという気持ちはゼロではない。
 
しかし、しなくても、頼らなくても、楽しく生きていくことができる。
 
経験者たちが語る実態は、いつも一般論を超える。今回もそう感じました。
 

 
 
セミナーに参加された皆さんは、なんとなく問題を感じている方、漠然とではあるが不安を感じている方、実際に解決を模索しながら苦しんでいる方など様々。
 
親自身(または家族のなかで)、あるいは支援者自身で抱え込まず、医療機関や精神保健福祉センター、私たちのような民間施設、そして当事者会などへ相談することが大切だということをお伝えしました。
 
そして、「そうならないため」に必要なことについても、最後に少しお話しました。
 

 
 
問題を見てしまいます。
 
生活サイクルが乱れる。朝起きることができない。成績が下がる。約束しても守られない。借金や家の金の使い込み。暴言や暴力。
 
そこまでは行っていないとしても、お子さんのちょっとした「あれ?」という行動に対して、不安を抱いてしまいます。
 
問題をどうにかしたい。
 
何とか軌道修正したい。
 
普通の子に育ってほしい。
 
・・・その気持ちは痛いほどわかります。
 
しかし、問題は、そこじゃないのかも知れません。
 
 
なぜ、その子が、そこまでゲームやSNSを必要とするのか?
 
それが無いと、不安で不安で仕方がないのかも知れません。
 
その不安を、手っ取り早く、効果的に取り去って(見えなくして)くれる手軽な「道具」。
 
では、その不安は、どこから生じるものなのでしょう。
 
その点について考えると、考えないとでは、その先がまったく違ってくると、私は考えています。
 

 
 
私は、2歳の娘の親です。
 
よく思うのは、娘を依存症にさせたくないということ。
 
「依存症者の子は、そうでない親の子より依存症になりやすい」という言葉、依存脱却の歩みを始めた当初から何度も耳にしてきています。
 
それが俗説なのか、当事者の経験の蓄積なのか・・・。過剰に恐れることはないが、心に重くのしかかる言葉です。
 
 
「そうならない」ために、徹底的に依存対象から離す、見せない、触れさせないという考え方もあるのでしょう。
 
しかし、それでは真の意味での解決へは向かえないと思います。
 
娘が、娘自身の人生を自身の足で歩み、居場所を自分で作っていく。
 
そのために、私になにができるのか。
 
私自身が育ってきた背景を見つめ、心の中の引っかかりをほぐし、歪みに決着をつけていく。
 
 
セミナーに参加されている親御さんの大半は、ご自身が依存症とは別の世界にいらっしゃるのでしょう。
 
しかし、万が一お子さんに依存の問題が生じたときに、「それは何かがあったから生じたのだと」考えることで、きっと対症療法的なものを超えた解決に結ぶつくのだろうと思います。
 
親という立場としても、人間としても未熟な私ですが、それまでの経験を通してできる限りのことをお伝えしました。
 
 
ワンネスグループの「依存症を知るセミナー」は、一般論だけをお伝えする場ではありません。
 
依存症経験者だからこそできるメッセージをお伝えしていますので、もし関心をお持ちの方がいらっしゃれば、お声がけいただければと思います。
 

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※セミナー参加者のご感想(1月開催分から一部)
 
・体験者の声が聞けて、とても良かったです。一番は現実の世界に問題を抱えている、特に人間関係が大きく関係しているんだなと思いました。
家にある程度ルールを作ってはいるが、子どもから色んな甘えを言われてこちらもルールがはっきりしなくなってしまっている現実はあるなと思います。
 
・原因は必ず何かある事、心の不安がほとんどある事が分かった。親としての対応の仕方を考えていきたい。
 
・依存症の方が言われてた”さみしさ” ”恥” ”居場所のなさ” ですが、依存症になるまで周りが気付けなかった、話せない、受け入れられない社会にも問題はあると思います。
 
・依存者の体験談が親の立場から考えると、とても考えさせられた。
 
・体験談を聞けて腑に落ちたことがたくさんあって私は依存の傾向が強いんだと分かった。