心身の回復とウェルビーイングな生き直しをワンネス財団 ONENESS GROUP FOUNDATION心身の回復とウェルビーイングな生き直しをワンネス財団 ONENESS GROUP FOUNDATION心身の回復とウェルビーイングな生き直しを。

無料相談
ダイヤル

0120-111-351受付 月曜〜金曜10:00〜17:00
  • HOME>
  • プレスリリース>
  • 「学校に行きたくない」と訴える子どもが増える今、ご両親にお伝えしたいこと | ワンネス財団
2021.9.13

「学校に行きたくない」と訴える子どもが増える今、ご両親にお伝えしたいこと | ワンネス財団

「心身の回復とウェルビーイングな生き直し」を掲げ、依存症(依存している状態)・生きづらさ・刑務所や少年院出所者の生き直し支援を行う回復・成長支援団体 ワンネス財団 (一般財団法人ワンネスグループ|奈良県大和高田市、沖縄県南城市他|共同代表:伊藤 宏基、三宅 隆之)は、小中高生の自殺者が激増した昨年8月のニュースから約1年、不登校やひきこもりに関する相談が増えている状況を受け、厚生労働省の定める自殺予防週間である9月13日、保護者の方々に向け『「学校に行きたくない」と訴える子どもが増える今、保護者の方々にお伝えしたいこと』 をまとめました。


・コロナ禍で小中学生の自殺者が過去最多
長期の休みが終わり新しい学期が始まるタイミングは、例年学校に行き渋るお子さんたちが増えます。また、残念ながら自ら命を絶ってしまう子どもたちが急増する時期でもあります。

厚生労働省の調査によると、昨年の小中高生の自殺者数は過去最多となりました。特に夏休み明けにあたる8月の数値は、前年の2倍近くにのぼっています。

COVID-19(新型コロナウィルス)の影響もあり、引き続き子どもたちにも不自由な生活が強いられている中、私たちワンネス財団への相談も9月に入り増加しています。

友達と遊んだり外に出たりすることが制限されると、子どもたちはインターネットやゲーム、スマートフォンなどに没頭する時間が多くなりがちです。その結果、リアルな場での人とのつながりが減り、学校で人と会うことに恐怖を感じてしまうケースが増えています。

このような状況を受け、厚生労働省の自殺予防習慣(9月10日〜16日)でもある今、ワンネス財団は子どもたちの尊い命を守るため、不登校やひきこもりなど「生きづらさ」を抱えた子どもを持つご両親に向けたアドバイスを発表します。

本リリースにあたり、私たちは前提として「必ずしも学校に行かなければならない」という考えは持っていません。勉強は幾つになってもできますし、高いストレス状態にさらされ続けることは、精神的にも身体的にも悪影響を及ぼすため、無理に学校に行かせることが得策とは言えないためです。

近年はフリースクールや通信制の学校などの選択肢も増え、子どもたちのさまざまなニーズに寄り添った素晴らしい学校も多くあります。まずはそれらを「知る」ということも子どもを守るために大切なことの一つです。


・「親のせい」生きづらさに潜む 子どもの他律

ワンネス財団ではこれまで、不登校やひきこもりをはじめ、子どもたちの抱える生きづらさについて多くのカウンセリングを行ってきましたが、相談者の子ども達の大半が共通して口にすることは「親のせいでこうなった」ということです。

学校に無理に行かせることもなく、寝る場所や食事も提供し、子どもの要求を全て満たしているにもかかわらず、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

ワンネス財団は、依存の問題を抱える方をはじめ、生きづらさを抱える様々な方を支援する団体ですが、私たちの元に来る当事者の方の多くは、はじめは私たちの支援を受けるかどうかを考える以前に、自分の問題に直面化していません。(直面化:内部に抱えている矛盾や葛藤を発見すること。明確に知ること。)そのため、まずはご家族の方に対して、ご本人が問題に直面できるように関わり方を変えていくことから提案していきます。

例えば、アルコールに問題を抱える人の場合、酔って起こした問題を、酩酊中に周りが処理してしまっては問題に直面できません。ギャンブルに問題を抱えている人の場合は、借金を周りの人が肩代わりしてしまうことで直面することができず、また同じ問題を繰り返してしまいます。

人は自分が起こした行動の責任を取るように促すことではじめて「このままではいけないかもしれない」と問題に向かうようになるのです。

では、生きづらさを抱えた子どもたちはどうでしょうか?

・ゲームやスマホに対する依存の問題を心配し、親がルールを提示する。
・子どもが退屈にならないように、色々なアクティビティをやらせる。
・「学校に行きたくない」と言えば、欠席電話を親が代わりにやってあげる。

親御さんがこういった対応をすることで、目の前の問題はなくなりそうだと感じるかもしれません。もちろん、うまくいくお子さんもいらっしゃるでしょう。

しかし、このような対応は「子どもの他律」を生み、長期的に見ると問題が再発してしまう可能性が高く、前述した「親のせい」という状況を作ってしまうというのが実情です。



・親がルールを決めることのリスク
子どもがゲームやスマホをやりすぎてしまうことに対して、親がルールを決めることで制御する方法を実施しているご家庭は多いのではないでしょうか?

しかし、子どもは自分にとって都合の悪いルールを決められると、なんとかしてその抜け道を探すようになります。

「友達とゲームをやる約束をした」と言うかもしれませんし、暴れたり大声を出したりすることで(時には近所に聞こえるように)、ルールの解除を要求するかもしれません。親が最も嫌がる言葉を放つこともあります。

頭ではゲームのやりすぎ(スマホの使いすぎ)がいけないとわかっていても、心の底から「この状態は問題だ」と感じていなければ、その抜け道を探して自分の欲求を通そうとしてしまいます。さらには、そこで成功体験を味わってしまうと、社会に出てからも、暴れたり相手に嫌なことをいうことで、自分の思いを通そうと学習してしまうのです。

ルールを決めるときは、必ず本人が「なんとかしなければ」と感じた時に、両者の合意の上で決めることが大切です。


・なぜ子どもがゲームやスマホに依存するのか

自らをアルコール依存症と認める作家である中島らもさん(1952- 2004)は、このような言葉を残しています。

“「教養」とは学歴のことではなく、「一人で時間をつぶせる技術」のことである”

人は、時には痛み以上に「退屈感」を感じるのが苦手です。中島らもさんも退屈を紛らわすことに大きな苦労を感じ、このような言葉を残したのではないでしょうか。

皆さんも幼い頃は、人形や電車などのおもちゃでストーリーを作って没頭して、退屈感を紛らわすことができていたかと思いますが、次第に頭の中の妄想に没頭することができなくなる(またはネガティブな妄想が頭を占める)ようになると、退屈感を潰すことが難しくなってきてしまいます。

現代の子どもたちは、目の前にゲームやスマホがあると、一人でも簡単に退屈感を潰すことができます。しかし、それを続けてしまうと、退屈が耐えられずにゲームやスマホでしか退屈感を潰すことができなくなってしまいます。

周りから退屈感を紛らわすものを提供されると、その時間は集中することができます。ただ、自分で考えて退屈感を紛らわす能力が身についていないため、また家に戻って退屈を感じると、ゲームやスマホでそれを紛らわせるようになってしまうのです。


・自分の「行動」「考え」「感情」に責任を持たせる

冒頭で「子どもの他律」について触れましたが、ワンネス財団がこれまで子どもから大人まで、さまざまな生きづらさを抱える方々と接する中で、問題を解決するために重要だと感じるのは「自分の行動・考え・感情に責任を持つ」という能力です。

例えば、お子さんが「学校を休みたい」と訴えて、親が学校に欠席の電話をしたとします。「この間は熱が出たと言い訳したし、今日は何と伝えようかしら」と考え「電話をかける」という行動をし、電話で話した時に緊張感や後ろめたさなどを感じる。

これは、本来「考えること」「行動すること」「感じること」は、全て本人が責任を負うべきものなのに、親が代わりに責任を取っているという状態です。

子どもの進路をどうしようかと考えたり、ゲーム機を代わりに買いに行ったりすることにも、同じように親が責任を肩代わりしてしまっている構図があります。

親が代わりに考え・行動・感情に責任を持ってしまうことで、子どもは次第に自分の責任を放棄していきます。すると、親が全てやってくれると考えるようになり、自分の思い通りにならないと「親のせいでこうなった」と感じるようになってしまうのです。ある時、困難の中にいることを自覚しても、それは「親のせい」になってしまいます。


・人生は「選択肢を作り、その中から十分良いもの選ぶ」の繰り返し

人間は行動を起こす時、無意識に選択肢の中から選んで行動していきます。

有名人が自ら命を絶ったというニュースを聞くと、その有名人のファンでなくても「自らの命を絶つ」という選択肢が頭の中に芽生えてしまいます。そのためそのニュースの後に後追いが起こるのです。

選択することはストレスです。
その選択肢が多ければ多いほど、ストレスは大きくなります。

例えば仮に、全ての人が大人になってからの職業がすでに決まっている世界にいるとしたら、職業を選択する時のストレスは生じません。「職業を選ぶ」という選択の機会がないからです。

翻って現代社会を見ると「努力次第で何でもできる」と教えられます。しかし、選択肢が多すぎるため、なかなかなりたい職業を見つけられません。テレビやネット、日常生活の中で接する機会の多かった職業にピンと来た経験を持つ方も多いと思いますが、歳を重ねるにつれ、その職業への意欲は薄れていくことが多いです。

中には親に言われた職業を不本意ながら選択し、不満を感じる方もいらっしゃいます。これは、他人が自分で選んでいる(ように見える)のに、自分は選ぶことができないからです。比較する相手がいることで、不自由さを感じるようになります。

また、選択肢の中から「常に最高のものを選ぼうとすること」も大きなストレスに繋がります。

レストランのメニューを選ぶ時に最高のものを選ぼうと悩み、決めきれず、他の人を待たせてしまった経験はありませんか?

もっと面白い番組がないかとテレビのチャンネルをザッピングし続けることで、結局いい場面を見逃してしまった、という経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

一生懸命悩んで最も良いと思ったものを選択し、その結果後悔する可能性も十分にあるのです。

この選択によるストレスを軽減するためにはまず、普段の何気ない選択の機会を練習の場として意識することから始めます。そして選択肢の中から、「1つしかない最高のものを選び抜く」「それ以外の選択肢は失敗」というAll or Nothingのスタンスから、「十分満足できるものがいくつかあり、今回はその中の一つを選択する」というスタンスに慣れていくことが有効です。選択で全てが決まるという考え方から、選択肢を楽しむことを大切にする考え方に変えていく、と言い換えることもできます。またこの際、選択肢を具体化し、数を絞り、その中から選ぶという訓練も有効だと言われています。


・現代の親に必要なスタンス

進路の決定や、アクティビティの提案など、保護者が子どもに期待するあまり、「これが正しい」と子どもに押し付けてしまった経験はありませんか?

しかしそれに対して子どもは「自分の行く道を勝手に押し付けられた」と反発する気持ちを持つと同時に、「いつも親がなんとかしてくれる」という考えも生まれてしまい、自立心が育ちません。

期待を込めて提案したいことがあったとしても、「選択肢の一つとして紹介する」という程度に留め、それらの選択肢の中から自分で選ばせ、その道を応援することが大切です。

そのためには、日頃から敵対的にならず、ポジティブな関係性を続けていることが大切です。

ポジティブな関係性を築くためには、例えば子どもが「学校に行きたくない」と訴えてきた時、まずは「どうしたの?」とじっくり話を聞いてみてください。
同じセリフでも、その言葉の裏に親の意図があると、それが伝わって「責められている」と感じさせてしまうかもしれません。「学校に行かせたい」という親の期待や、「夜更かししたから、もっと寝ていたいんだろう」などのような決めつけは脇に置いて、純粋に「原因はなんだろう」という気持ちで聞いてみましょう。

もしかしたら、「頭が痛いから」とか「うるさいな」とか、一言で終わらせようとするかもしれません。そこで終わらせずに、「原因はなんだろう?教えて。」というように、じっくり話を聞くスタンスを示していきます。根気よくゆっくりと時間をかけて待ってあげてください。

そして、一通り聴き終わったら、学校を欠席するために何をすべきか、一緒に考えていきます。ここでも大切なことは「自分で考え、感じ、行動する。それを親は応援する」というスタンスです。行動や考え、感情の責任を代わりに受け取らず、ただその決断を応援するのです。

最初はうまく行かないかもしれません。しかし目的は問題を解決する前に、親の新しいスタンスの表明です。まずはそこから始めてみてはいかがでしょうか?

自分のことに責任を持ち、選択肢の中から選ぶことを繰り返していけば、子どもの自尊心が高まっていきます。

もしかしたらその選択が間違っているかもしれません。その場合も結果が出る前に未然に処理したりせず、その結果をしっかり自分で受け止めてもらいます。その時に子どもたちと保護者の間でポジティブな人間関係ができていたら、子どもたちからの「自分の力ではどうすることもできない。助けてほしい。」というメッセージを受け取ることができるでしょう。

(もしかしたら、「親には心配をかけたくない」と言い出せないお子さんもいらっしゃるかもしれません。そんな時は、お子さんにとって「ちょっと年上の存在」が近くにいることで助けになると思います。)

ゲームや生活リズムのルール決めはその後です。

一方的に決めるのではなく、お子さんとじっくり相談の上決めてください。その上でルールに例外はないことをあらかじめ伝え、しっかりと実行してください。

ルールの管理は叱ったり態度で表したりするのではなく「ルールが守れたら報酬」で管理することが有効です。ルールが守れなくても「今日は報酬無し」と伝えるだけです。



・子どもとのポジティブな関係性のはじめ方
子どもとポジティブな関わりを続けていくために一番大切なことは、保護者の方々自身がポジティブでいることです。

自分自身がポジティブな状態でいると「よしやってみよう」という前向きなモチベーションが湧いてきますし、「今日はこんな話題を話してみようかな」というアイディアも湧いてきます。子どものことを心配し、疲れ切ったお父さん(お母さん)を見せるのではなく、話しかけやすい存在であるように、しっかりとご自身のメンタルケアに取り組んでください。

もしお子さんが今、困難の中にいたとして、その原因は親御さんの責任ではないかもしれません。もしお子さんが今、困難の中にいたとして、その原因は保護者の方々の責任ではないかもしれません。ただ、毎日一緒に生活をしている皆さんだからこそできることがあります。

ゲームやスマホへの依存や、学校に行きたくないことがわかった時、それは関係性を変えるチャンスかもしれません。この文章をお読みになった皆さん、ぜひお子さんとの新しい関係性を始めてみてください。

  • HOME>
  • プレスリリース>
  • 「学校に行きたくない」と訴える子どもが増える今、ご両親にお伝えしたいこと | ワンネス財団