
2025.10.06
あしかプロジェクト第10回研修会 開催報告 ― 更生支援における「対話」と「断らない支援」の実践をテーマに ―
10月3日、奈良県コンベンションセンターにて、「あしかプロジェクト第10回研修会」が開催されました。会場には奈良県内外の司法、矯正、福祉等の関係機関や団体、個人など約50名が参加。地域における生きなおし応援、更生支援の新たな展開について、講演、グループワークや意見交換が行われました。
文:三宅隆之(ワンネス財団共同代表/保護司、精神保健福祉士、公認心理師)

同プロジェクトは、令和2年冬に活動を開始。
刑事施設出所者などが地域社会で心身ともに安定した生活を再構築し、再犯しなくても良い環境をつくることを目的とする奈良県内の公的、民間各団体や個人によるネットワークです。ワンネス財団奈良本部は、活動開始時よりプロジェクト事務局を務めており、財団が掲げる「生きなおし応援」の理念を反映させながら、他メンバーとの協働による取り組みを継続しています。

節目となる10回目の研修会は、事務局から伊藤宏基(ワンネス財団共同代表)が挨拶。
法務省奈良保護観察所の岡野みづほ所長からご挨拶を頂戴しました。
引き続き、福山大学教授の中島学氏(ワンネス財団顧問)が基調講演を行いました。
テーマは「対人支援の新たな展望―対話実践に焦点を当てて―」。中島氏は、「対話は技法ではなく姿勢であり、更生支援の核心は関係性の再構築にある」と述べ、支援者と当事者の相互的な関わりの重要性を説かれました。

午前中後半の共同発表では、奈良県福祉保険部の野々山綾乃参事、あしかプロジェクトのコアメンバーでもある奈良弁護士会の宮坂光行弁護士と、奈良県地域生活定着支援センターの西田利昭センター長が登壇。奈良県が全国で初めて制定した「更生支援の推進に関する条例」の経緯や意義、具体的な取り組みが紹介されました。
司法と福祉の接続、そして「罪に問われた人」という表現に込められた人権的配慮についても説明があり、地域福祉行政の先進的な取り組みが報告されました。

午後は、奈良県地域生活定着支援センターの杉浦朝香氏による事例発表があり、その後のグループワークでは、発表事例をもとに「本人のニーズ」「変化を支えた要因」をテーマに討議が行われ、直後のグループ発表においては「地域ネットワークの構築」「支援者間の連携」「文化的背景への理解」などの意見が共有されました。
事例に対して、参加各メンバーが自団体や自身の取り組みから得た経験、そして強みを持ちよって、支援の新たな視点をもたらすことが、あしかプロジェクトの特徴です。さらに事例検討の対話を通じつながりが強固になることで、プロジェクト全体がひとつの大きな受け皿になり、断らない支援が実現しています。研修会参加者の多くが、プロジェクトの特徴を感じて頂けたようでした。


研修会最後に、西田奈良定着センター長(あしかプロジェクト代表)が「断らない支援とは、単に受け入れることではなく、関係をあきらめない姿勢を意味する」と、まとめて頂きました。10回目を迎えた今回も、「対話」と「断らない支援」を軸に、更生支援の理念・制度・実践をつなぐ場となりました。
今後もワンネス財団は、あしかプロジェクトの事務局として、更生支援の関係機関・団体等との連携をさらに強化し、「生きがいをもった生きなおし応援」の理念を拡げていきます。
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