
2025.12.30
問いを携えて、21年目へ ― ワンネス財団2025年回顧(2)
「誰もが生き直せる社会をつくりたい」──その思いで歩んだ20年。
2025年9月、ワンネス財団は創立20周年を迎えました。
29日から大みそかまでの3回に分けて、節目の一年を振り返る第2回です。
3.世界へ・・・生きなおし応援の場の拡充。
― 支援の拠点が、地域と働く場へと広がる
ワンネス財団は、創立から20年間で延べ約1,500名もの利用者を受け入れ、その人らしい「生きなおし」を応援してきました。
出所者・出院者、依存症やひきこもりなど様々な生きづらさを抱えた人たちが、安心できる居場所と回復のプロセスを得られるよう、福祉・支援の場を広げてきたこと自体が、私たち財団の大きな強みです。
その広がりは、単に“応援する場所”にとどまりません。
2025年には、支援の場を「働く場」へと展開する一歩が具体化しました。
三重県では、高級ブランド苺BERRYの農園を舞台にした就労継続支援B型事業所「遊士屋苺農園」が新たにオープンし、地域の福祉と経済が交わる場としての機能をスタートさせています。

この新拠点は、単なる訓練の場ではありません。
生きなおしの過程で一般企業での就労が難しい人たちが、自分のペースで働きながらスキルを身につけることができる福祉サービスです。
一般就労への移行に必要な実践的スキルが着実に育ち、“働くこと=社会参画”への道筋をつくります。
三重の新拠点は、農業という“地域の資源”と福祉を結びつけることで、そこで働く人たちが地域の一員として役割を担い、居場所を体感する機会にもなっています。
支援先の拠点が、利用者自身の生活の核へと変わっていく——その意味は大きく、財団が目指す「孤独の解消と自己実現」という理念を、社会参加の具体的なかたちとして体現する一歩と言えるでしょう。
ブランド苺は世界に販路を拡大しています。
世界に繋がることが「生きがい」になります。
世界へ通じる仕事の場としては、沖縄県内で国産バニラ栽培を展開するグループ企業が、こちらも就労継続支援B型事業所「OKINAWA VANILLA WORKS」を年末に開所しました。

さらには、多機能事業を展開するワンネスの里が奈良県宇陀市に農場を移設し、同市にて農業事業を展開する企業とのコラボレーションがスタートしています。
いずれも、ワンネス財団の歴史に新しい1ページが加わった瞬間です。
4.家族支援とコミュニティの広がり
― 「応援する人」が孤立しないために
ワンネス財団が掲げる「生きがいをもった生きなおし応援」は、罪に問われた人や依存症、ひきこもりなどの課題を抱える本人だけを対象としたものではありません。
むしろ、その周囲で関わり続け、立ち直りを願いながらも先が見えず、静かに疲弊していく家族やパートナーこそ、先行して応援が必要な存在だと、私たちは考えてきました。
2025年は、そうした家族が孤立しないための場づくりが、確かな広がりを見せた一年でした。
家族のコミュニティであるワンネスファミリーグループは、新たに岡山会場と神戸会場がスタートし、家族自身が主体となって「生きなおし」を学び、実践する場が全国10会場へと拡大しました。
さらに新年1月には横浜会場も開設予定となっており、家族会への参加を必要とする方々にとって、選択肢は着実に増えています。
また、大阪会場では、本年も大阪市ボランティア活動振興基金の助成決定を受けることができました。
助成事業の中核に据えられているのは、家族会を「サードプレイス(第三の居場所)」として育てていくこと、そして家族が抱える悩みや葛藤を、スタッフとともに整理し考えていく個別相談会の充実です。
そして、今年は兵庫県から「再出発をめざす人たちの居場所づくり」の業務委託を受け、「更生を目指す人たち」、「更生を支える人たち」それぞれの交流会を開催しました(受託:エモーショナルリテラシーセンター)。

更生を支える人たちの交流会は定員いっぱいになるなど、こちらも新しいコミュニティが育ちつつあります。
「本人を支える家族」が、先にすり減ってしまわないように。
その思いは、単なる理念ではなく、場づくりや仕組みとして具体化されてきました。
家族の暮らしの再建と、生きなおし応援は切り離せない——その認識が、2025年の活動を通して、よりはっきりと形になった一年だったと言えるでしょう。

構成・文 三宅隆之(ワンネス財団共同代表)
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