
2025.12.29
問いを携えて、21年目へ ― ワンネス財団2025年回顧(1)
「誰もが生き直せる社会をつくりたい」──その思いで歩んだ20年。
2025年9月、ワンネス財団は創立20周年を迎えました。
今日から大みそかまでの3回に分けて、節目の一年を振り返ります。
1.20周年記念カンファレンスが示したもの
―「生きがい」と「問い」が、次の20年の軸になった日
2025年9月22日、ワンネス財団は創立20周年を迎えました。
翌23日に大阪で開催した創立20周年記念カンファレンスは、これまでの歩みの感謝をお伝えするとともに、次の20年に向けた“方向性を共有する場”でもありました。

キーノートセッションでは安倍昭恵氏、高橋ゆき氏(株式会社ベアーズ副社長、株式会社YeeY 取締役CBO)、池田親生氏(竹あかり演出家)がご登壇。

パネルディスカッションでは中島学氏(福山大学教授、ワンネス財団顧問)、岡邊健氏(京都大学大学院教育学研究科教授)にご登壇頂き、これまでの歩み、これからの「生きなおし応援」について多くの提言がされました。

更に、小山定明氏(元法務省矯正局長)からのビデオメッセージから、ワンネス財団の今後に力強いエールが贈られました。

最後のセッションでは、創業者の矢澤祐史と財団役員が登壇。

すべてのセッションを通し、一貫して語られたのは、
『「生きがい」と「問い続ける姿勢」』です。
2005年の設立から20年にわたる生きなおしの応援(更生支援/再犯防止、依存症脱却支援)の現場で見えてきたのは、人が変わるきっかけは「管理」や「指導」ではなく、自分の人生に意味や希望を見出す瞬間=生きがいに出会うことだ、という実感でした。
それは特別な成功体験ではなく、日常の中の小さな手応えや、人とのつながりの中で生まれるものでもあります。
また、記念カンファレンスでは「断らない支援」という実践が、研究・制度・地域の視点と重ねて語られました。
生き直しとは「問題をやめさせること」ではなく、自分らしい生き方を取り戻していくプロセスであり、そのためには一人ではなく、複数の他者や場との関係性が不可欠であることが確認されました。
最後に矢澤から共有されたのは、次の言葉です。
「どんな問いに応え続けるかで、未来は変わる」。
20周年は“完了”ではなく、問いを更新しながら歩み続ける新たな起点である──その認識を参加者全員で分かち合った一日でした。
また、20周年記念企画として「ウェルビーイング・シンポジウム」を開催。
中島学氏、西田利昭氏(奈良県地域生活定着支援センター長)、緒方伸子氏(北新地クリニック 放火事件被害者家族)と共に、東京、福岡、札幌などにて、地元の関係者と共に「新たな立ち直り支援への眺望 ~生きがいと、生きなおす」について考えました。

さらに、北海道から沖縄まで各地でドキュメンタリー「幸せに生きるための手引き」上映会を開催し、共感の輪を拡げました。
2.刑務所・少年院・地域とつながる
― 生きなおしの応援が拡がり、深化しました
2025年は、ワンネス財団の生きなおし応援(更生支援)が、より広く・より重層的に拡がった一年でもありました。
財団傘下各施設ではこれまでも、刑務所や少年院を出た後に行き場を失いやすい人たちを受け入れてきましたが、近年はとくに、地方検察庁、刑務所・少年院、保護観察所、そして地域生活定着支援センターとの連携が着実に深まっています。
奈良と沖縄の傘下施設において、矯正や更生保護の関係者のご見学を多数受け入れ、意見交換を重ねる中で、「出所・出院後の暮らし」を支える視点が、より現実的なものとして共有されてきました。
それは、再犯防止を目的とするだけでなく、地域の中で孤立せずに生き直していくための土台づくりでもあります。
また、ワンネス財団がコアメンバーとして参画している奈良県内での公民連携「あしかプロジェクト」は活動5年。

10月に開催した研修会においては、奈良県福祉保険部地域福祉課、奈良弁護士会、奈良県地域生活定着支援センターによる共同発表や、参加者によるグループワークなどで、重層的支援の大切さを県内の関係機関・団体の皆さまと分かち合いました。
ワンネス財団が大切にしているのは、「支援をつなぐこと」そのものです。
医療、福祉、司法、家族、地域──それぞれが単独で機能するのではなく、人を中心にゆるやかにつながること。
そのハブとしての役割が、現場との対話を通して少しずつ形になってきました。
こうした連携の積み重ねは、
「生き直しは個人の努力ではなく、社会との関係性の中で起こる」
という、20周年カンファレンスで語られたメッセージとも深く響き合っています。
構成・文 三宅隆之(ワンネス財団共同代表)
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