
2026.01.15
母校で語った「生きなおし」とウェルビーイング
――公開授業「立ち直り支援と地域共生社会」にて
1月9日、私の母校でもある福島大学にて、公開授業「立ち直り支援と地域共生社会」が開催され、講演とワンネス財団制作ドキュメンタリーの上映機会をいただきました。

この授業は、行政政策学類・高橋有紀先生が担当されている講義の一環として行われ、授業を履修する学生を中心に様々な立場の方が参加。
罪に問われた人や依存症者などの「立ち直り(生きなおし、更生)」を、地域や社会の視点から考える時間となりました。
卒業生として、いまの「生きがい」と「葛藤」を語る
今回の講演では、ワンネス財団での支援活動の紹介に加え、
なぜこの仕事に向き合い続けているのか、
続ける中で感じてきた生きがいや葛藤、
そして、自身の「生きなおし」についても率直にお話ししました。
母校で、学生の皆さんを前にこれらを語ることができた時間は、私自身にとっても非常に特別なものでした。
◆講演会を報じた記事(河北新報 1月15日配信/有料記事)
https://kahoku.news/articles/20260114khn000079.html
「問題行動」ではなく、その人の“状態”を見る
犯罪、依存症、ひきこもり——
もちろん、表面上に現れる事態はそれぞれ異なりますが、支援の現場で感じてきたのは、
多くの人が「生きがいを感じられない状態」で、幸福度が著しく低いという共通点です。
講演では、生きなおしのために特に重要だと考えていることについて、
ドキュメンタリー上映の中でも触れられている、3つのポイントをお伝えしました。
「安心できる人間関係、居場所」
「エモーショナルリテラシー」
「自分自身の良さや強みに気づくこと」
ワンネス財団傘下施設は、これらの点を「カリキュラム」として様々な切り口で提供していますが、更生というより、人が幸せに生きるための土台そのものだと考えています。

当日は、ワンネス財団が制作したドキュメンタリー
「幸せに生きるための手引き」の上映も行われました。
本作は、財団沖縄施設で生きなおしを歩む当事者の姿を追った作品で、ナレーションは俳優の西田敏行さん、監督は豪田トモさんが務めてくださいました。
生きなおしというのは「特別な誰かの話」ではなく、
地域の犯罪や依存症の減少にもつながる、社会全体の課題である。
そのことを上映を通じて共有できたことも、今回の授業の大きな意義でした。
ウェルビーイングは「手段」ではなく「本質」
再犯防止や依存症脱却の文脈では、
「どうすれば問題行動を減らせるか」と語られがちです。
しかし私たちは、
ウェルビーイングを深めること自体が目的であり、本質であると考えています。
結果として再犯や再発が減るのではなく、
「生きがいを持って生きる人が増える社会」をどうつくるか。
その問いを、学生の皆さんと共有できた時間でした。
地道に、ありのままを伝え続ける
「再チャレンジ」ということが言われて久しいですが、
生きなおしに関する世間の理解が豊かでないことは、長らく続いている事実です。
ある人は「もっと理解を!」「私たちは理解されていない!」と声高に訴えますが、
ダメな事をしたらダメ、過ちを犯したら相応の償いをすべきことも事実です。
そのような世間の大半の見方のなか、
でも、誰かの立ち直りが、毎日どこかで始まっている。
消えない過去にしっかり向き合い、他律ではなく、自分の人生の舵を自分で握る。
そのための応援・・・生きなおしの応援を地道に続け、
幸せに責任を持つ人たちを社会に輩出し続ける。
小さいさざなみのような世間の理解が、やがて大きいうねりになるのかもしれない。
今回の福島大学での講演は、その原点を改めて確認する機会にもなりました。
このような貴重な場を設けてくださった高橋有紀先生、福島大学の皆さま、
そして耳を傾けてくれた学生・参加者の皆さんに、心より感謝いたします。
文:三宅隆之(ワンネス財団共同代表/精神保健福祉士・公認心理師)
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