
2026.09.01
大人も共に成長すること ― 日本PTA全国研究大会に登壇しました
令和8年8月21日、奈良県内で第74回日本PTA全国研究大会が開催され、御所市での第3分科会「人権教育」にパネリストとして登壇しました。
テーマは「ネット社会を生き抜くために、『禁止』よりも『共育』の視点を」。
昨今のネットに関する様々な問題を、子どもたちのみに押し付けるのではなく、大人自身の成長も必要だと再確認した機会でした。

ディスカッションはまず、現状の共有から始まりました。
子どものネット利用時間は、小学生で一日3時間を超え、高校生では6時間45分。8歳の9割がすでにインターネットを使い、2歳でも6割を超える子たちが何らかの形で触れているとの調査結果。
私がワンネス財団で働き始めた15年前はスマートフォンが普及し始めた時期だったことを考えると、あっという間に変わったということになります。
そのうえで、闇バイトの受け子として使われる高校生や大学生のこと、長期休暇のたびに増える性的な画像を使った脅迫のこと、ネット上の書き込みは削除や発信者の特定だけで大きな費用と長い時間がかかること、そして、終わりのないスクロールが使い続けてしまうように設計されていることが、パネリストそれぞれの立場から語られました。
闇バイトの話になったとき、私が話したのは「その先のこと」です。
刑務所や少年院を出たあと、行き場がない。だから、また同じところへ戻ってしまう。私たちが現場で見ているのは、その循環です。
そして、そこにたどり着く手前には、子どもの貧困や、元々抱えている生きづらさがあります。
ネットの問題として語られていることの根には、たいてい、このふたつが横たわっていると相談や生きなおし応援の現場で感じます。
そして依存問題の背景にも通じています。不健康なのめり込みの手前には、生きづらさ、孤立、自己肯定感の低さがあります。
ですから、予防教育などで危険を知らせるのも大切ですが、それだけでは足りないのだと思います。
子どもたちが、ネット環境の真っ只中で一線を超えずに踏みとどまれるかどうか。
それを決めているのは、知識の量ではなく、例えば親や先生、友だちとの、リアルなやりとりの質だと感じています。

具体的にはどうすればよいのか。ディスカッションの後半で、アイディアのひとつとして「増やすこと」をお伝えしました。
ひとつのものにのめり込むのは、ほかに頼れる先がないからです。
依存問題への対策は、取り上げることではなく、関係、つながりを増やすこと。
言い換えれば、その子が身を置けるコミュニティを増やすことです。これは、ワンネス財団各施設で私たちが実践していることでもあります。
そして、もうひとつ。大人の“在り方”についても触れました。
AIにしてもSNSにしても、大人が遠ざけて終わりにするのではなく、自分から関わり、どう付き合うかを見せていく。
受け身で使われるのではない、主体的に使っていく。私たち大人は、人生を他律で生きてはいないか。
日々成長し自律して生きていく姿を、子どもたちは見ています。
今回の分科会が行き着いたのは、大きく二点だったと思います。ひとつは、知識を与えるだけでは足りないということ。
悪いと分かっていても踏みとどまれるかどうかは、その子の心の力と、人間関係の積み重ねに支えられている。
もうひとつは、大人の側が変わる番だということです。禁止して終わりにするのではなく、子どもと同じ目線で対話し、ともに学ぶ。分科会のテーマである「共育」は、まさにそのことだと思いました。

ブログをご覧の皆さまはご存知のとおり、ワンネス財団は20年以上にわたり再犯や再非行を防ぐことや依存問題からの脱却…生きなおしを応援しています。
それは言い換えると、孤立や生きづらさの状態から生きがいをもった成長への変容です。
子どもとネットというテーマも、その延長線上にあると考えています。登壇の機会をくださった大会関係者のみなさま、ご参加いただいたみなさまに、あらためて御礼を申し上げます。
一般財団法人ワンネス財団 共同代表 三宅隆之
(精神保健福祉士/公認心理師)
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